【フードフェス誰得?】チケットの違和感を辿ったら『市の外注組織』に辿り着いた話

脳内思考・雑感

職場の前の広場でフードフェスのようなものが開催されてました。
「クラフトビール」がテーマのようでした。
コチラとしては、まだスタッフ達が集まる前から職場で働き始めます。
前日に搬入したであろうテントや機材などが並ぶ中を一回りしてみました。
チケット制なのかぁ。

肝心のクラフトビールや食べ物が幾らなのかはわかりません。
チケットは金券のように、500円券と100円券で構成されたブック形式の様相。
1000円で1500円分がついてくるからお得というのが売り文句。
じゃあこのフェスって誰得なの?と疑問に思ったので、調べてみました。

得をする人とその仕組み

チケットシステムは、「割引感を出しつつ、端数を余らせて回収する仕組み」です。
フェスの構造について、「短期的には主催者(事務局)と一部の店舗が得をするが、地域振興や出店者の新規客開拓としては課題(歪み)が大きい仕組み」です。

主催がどこなのかわからない構造

市のホームページで宣伝されてましたが、「〇〇市まちづくり株式会社」が主催。

株式会社主催のイベントをなぜ市が宣伝?

どうやら、この株式会社は市の第三セクターのようです。
地方では「あるある」のようです。
さらにそのバックには、商工会議所やロータリーなどが見え隠れしてました。

市役所(行政)が直接イベントを主催すると、税金の使い道や収益の扱い、チケット販売などの商業活動に厳しい制約がつきます。
そこで使われるのが「〇〇市まちづくり株式会社」のような第三セクター(市などが出資・設立した半官半民の会社)です。
このイベントは、俺達がやらせたものだとウチの社長が得意げな顔でおっしゃってたので、商工会・ロータリーなどがバックにいることがわかりました。

  • 役所の本音: 市役所本体の手を汚さず、民間企業のような顔をして「収益事業」や「出店料の徴収」「チケット販売」を行わせるための「受け皿」にしています。
  • 市のWebサイトで宣伝する理由: 実行委員会には市も深く関わっているため、市の公式広報枠をフル活用して無料で大々的に集客できます。「市が後援・宣伝している」というお墨付きを与えることで、市民や客に安心感を持たせる狙いもあります。
  • 商工会などの地元有力者の暗躍:表向きは「街づくりのため」なのですが、第三セクターで出た収益が出資者である地元有力者に還元される仕組みがあります。

「500円お得」という見せかけのカラクリ

「チケット購入で500円お得」という謳い文句がありましたが、これは自治体系イベントでよく使われる「予算(税金や補助金)のバラマキによる見せかけの割引」のようです。

  • 仕組み: もし「1,000円で1,500円分のチケットが買える(500円お得)」のだとすれば、その浮いた500円分はどこから出ているかというと、市からの補助金やまちづくり会社の事業予算(元を正せば税金や公的資金)から補填されている可能性が高いようです。
  • 実際のオチ: 税金を使って「お得ですよ!」と客を呼び込みながら、現場では「端数(100円券)を使い切れずに余らせる」構造になっているため、「税金を使ってお得感を演出したのに、結局その一部は未消化券として事務局(まちづくり会社)の懐に戻っていく」という、極めて歪んだお金の環流が起きています。

誰が得をしているのか?

  • 〇〇市まちづくり株式会社(+実行委員会):出店料+未消化チケットの利益+市の事業予算を獲得し、会社の事業実績(売上)を作れる。一番の勝ち組。
  • 市役所(担当部署・政治家):「中心市街地の賑わい創出」「クラフトビールフェスで〇万人集客」という「賑わってる感」の実績(報告書)が作れる。
  • 出店者:補填金やイベント価格設定で一定の売上にはなるが、雨の中のオペレーションや近隣へのしわ寄せを背負わされる。
  • 近隣住民・事業者(私など):道路や駐車場を塞がれ、騒音被害を受け、何の恩恵もない最大の不利益者。

衛生管理や混雑緩和という建前、お釣りの出ない端数チケット、そして『500円お得』という甘い言葉。その裏にあるのは、税金や公的予算を使った『賑わいの演出』と、近隣への配慮を欠いたお役所仕事の構造でした。地域を盛り上げるとは、一体誰のためのものなのでしょうか。

「みんな楽しんだのだからいいじゃないか」とバックにいるウチの社長は言います。
このフェスのKPIは何だったのでしょう?
来場者の満足度を測る指標は何だったのでしょう?

満足度・不満に関する統計データ

ホットペッパーグルメ外食総研やナビットなどの意識調査によると、食フェスというジャンル自体に対する関心は高く、「行きたい」と答える人は全体の60〜70%にのぼります。 しかし、「実際の参加経験者」となると20%前後にまで激減するそうです。[PR TIMES]

さらに、参加者の「不満・失敗談」に関する調査項目では、以下のような声が圧倒的上位を占めています。

  • 「とにかくコスパが悪い・高すぎる」(量に対して価格が高い、チケット代がかさむ)
  • 「混雑・行列が凄すぎて食べたいものが買えない」
  • 「落ち着いて食べる場所(席やテーブル)がない」
  • 「料理が冷めていた、写真と実物の差が激しい」

[DIME]

つまり、「雰囲気を味わいに行く」という目的以外の、「食の満足度」「コストパフォーマンス」においては、かなり低い評価をつける層が一定数存在するのがフードフェスの現実です。

「ふらっと行った人」は満足できているのか?

ふらっと散歩がてら訪れた人の満足度は、大きく2つの層に分かれるようです。

満足している層(「場所と雰囲気」を買っている人)

  • 主な属性: 20〜30代の若者、グループ客、お酒好き
  • 満足の理由: 食べ物の味やコスパではなく、「昼間から屋外でビールを飲む非日常感」「SNSに投稿するネタ」「賑やかなイベント空間にいること自体」を楽しんでいます。彼らにとって高めの価格やチケットの不便さは「入場料・エンタメ代」として消化されます。

不満・後悔が残る層(「お得感や食の充実」を求めた人)

  • 主な属性: 一人客、コスパ重視派、純粋に美味しものを落ち着いて食べたい人
  • 不満の理由: 「ビール1杯とつまみ少しで1,500〜2,000円あっと言う間に消えた」「立ち飲みで雨の中並ばされた」「チケットが100円残ったが使い道がない」といった実害に直面します。この層にとっては「わざわざ高い金を払って不便な思いをしただけ」になり、リピートすることはありません。

主催者や身内の「自画自賛」が起きる背景

ウチの社長みたいな人がおっしゃる通り、「楽しんでいるのだからいいじゃないか」という声の中には、サクラや関係者(主催・出店・商工会議所関係)のポジショントークが混ざっているケースが多々あります。

自治体や第三セクターが絡むイベントでは、終了後に「〇万人の来場者を記録し、大盛況に終わりました」という報告書(実績)を作ることが最優先されます。 その「〇万人」の中には、

  • 違和感を覚えながらチケットを消費してすぐ去った人
  • 通行人で現場を通りかかっただけの人
  • 職場前で迷惑を被りながら遠目に見ている近隣住民 なども一括りに「集客実績」としてカウントされます。アンケートを取るとしても「満足した」と答えやすい会場内のテンションが高い人たちを中心にピックアップされるため、表面上は「大成功」というストーリーが捏造されていきます。

フェスを成功させるための提言

提言1. チケット制をやめ「共通電子決済 or 100円単位の完全払い戻し」にする

  • 課題: 端数チケットの失効(事務局の総取り)がお得感を損ね、不信感を生んでいる。
  • Win-Winの提言:
    ①PayPayなどの電子決済(コード決済)の一括導入: 会場全体の決済を標準化すれば、お釣りの問題も衛生上の問題も一発で解決します。決済手数料の一部を事務局が引く仕組みにすれば、事務局の収益も確保できます。
    ②紙チケットを継続する場合: 残った100円券を「1枚単位で本部で全額現金払い戻し」できるルールにするか、「イベント終了後1ヶ月間、協賛している地元の常設店舗で100円券として使える」仕組みにします。
  • Winの理由: 客は損をせず、地元の常設店舗に客流が生まれるため、本当の「地域活性化」に繋がります。

提言2. 「イベント完結」ではなく「街歩き(回遊)型」にする

  • 課題: 道路や駐車場を占拠して一箇所でバカ騒ぎし、近隣店舗や住民に迷惑(外部不経済)だけをかける。
  • Win-Winの提言:「バル街(街歩きイベント)」のように、受付でマップと参加証(または試飲チケット)だけを渡し、参加者が自らの足でエリア内の「実店舗」を巡る形式に変えます。
    キッチンカーを並べる場合も、公道や特定の店舗の営業を妨げる場所ではなく、本来のイベント空間(公園や未利用地)に集約します。
  • Win-Winの理由:
    近隣店舗・住民: 営業妨害や騒音被害を受けず、むしろ自分の店に新規客が歩いて訪れる。
    出店者: フェス限りの単発で終わらず、イベント後も通ってもらえる「自店舗への誘導」ができる。

提言3. 出店料を「固定+端数搾取」から「売上完全歩率」へ

  • 課題: 高額な出店料と歩率のせいで、出店者が「ポーション(量)を減らし、価格を吊り上げる」しかなくなり、客のコスパ満足度が下がる。
  • Win-Winの提言:市やまちづくり会社(公的資金が入っている組織)が主催するなら、出店料で儲けるのをやめ、「地元の若い個人店やクラフトビール事業者の出店ハードルを下げる支援策(低めの一律歩率)」にする。
  • Win-Winの理由:
    出店者: 適正な価格とボリュームで商品を提供できる。
    客: 「高い・少ない・冷めている」という不満が減り、満足度が上がる。

提言4. 「賑わい人数」ではなく「地域への波及効果」を評価指標(KPI)にする

  • 課題: 市や第三セクターが「来場者数〇万人!」という表面上の数字(自己満足)だけを実績にしている。
  • Win-Winの提言:イベントの成功定義を「現場に何人集まったか」ではなく、「イベントをきっかけに、参加店舗の売上がどれだけ伸びたか」「どれだけリピーターがついたか」に変更する。
  • Win-Winの理由:事務局(自治体)は真の意味で「税金を使った甲斐のある地域振興実績」を胸を張って報告できるようになり、市民や近隣事業者からの理解も得やすくなります。

最後に

休日なのに仕事をせざるを得なかった自分の愚痴記事とも言えなくもありません。
ウチの職場は、就業前後にはアルコールチェックもあります。

社長にしてみれば、職場前の広場がガランとしていて寂しい、人が集まれば店舗への来客数も見込めるのではという心もあったのかもしれません。それはわかります。

ですが、フェスというイベントの構造を斬ると様々な課題が浮き彫りになってきました。
『イベント期間中に一時的なバカ騒ぎをして終わり』の地域活性化から、『地域に店舗とファンが残る持続可能なイベント』へ。職場の前の静寂を願いつつ、次回のアップデートに期待したいと思います。

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